梅田の超高層ビル、日本一の書店がオープン


 大阪・梅田に年末、国内最大となる書店が出店し、全国一の激戦地となる。

 梅田北部の茶屋町に今春開業した複合超高層ビル・101m「チャスカ茶屋町」。ビルの上部と下部がねじれたような奇抜な外観は、安藤忠雄

建築研究所が設計した。

 12月下旬、このビルに日本最大の書店がオープンする。ジュンク堂書店の新店が地下1階から地上7階に入り、200万冊を取り扱う

現在、大阪最大の規模を誇る同社の大阪本店は超高層ビル・堂島アバンザに入居しているが、その取り扱い冊数は約2倍となり、店舗面積も

約1・4倍に広がる。

 「あまりに広くて、本が集めきれない」

 担当者がこう悲鳴を上げるほど、全分野にわたって品ぞろえを充実させるという。当初は月商2億円を目標とするが、軌道に乗れば3億〜4億

円を目指す。

 電子書籍が急成長するなか、書店は右肩下がりの業界といわれるが、社長は「縮こまってしまうのではなく、積極的に頑張りたい。日本最大の

書店で、改めて本選びの楽しさを味わってほしい」と意気込む。

 ジュンク堂新店を迎え撃つのが、約300メートル南西の阪急三番街にある紀伊国屋書店梅田本店で、同書店の系列では日本一の売り上げ

を誇り、9月17日に20年ぶりの全面リニューアルを終了。新規出店並みの約3億円を投じ、2カ月間にわたる改装工事で店内のレイアウトを

完全に変えてスタートした。

 凹形の店舗の中央へ人が進みやすいよう、両側の出入り口から中央へ向かってV形のメーン通路(幅約2・5メートル)を設置した。これにより

出入り口付近での混雑が少なくなり、改装後の来店客は前年と比べて10%アップしたという。

 昭和44年の開業以来、大阪を代表する書店だった同店の売上高は平成5年度の140億円をピークに減少に転じた。現在は100億円を切る

水準だが、起死回生の改装で、ジュンク堂新店に先手を打った形だ。

 紀伊国屋書店では、来店客の趣味や好みに応じて書籍を紹介する「本のコンシェルジュ」を育成するとともに、電子書籍事業への参入も検討し

ているといい、同社企画広報課では「ジュンク堂出店の影響は避けられないが、梅田地区の書籍需要が大きくなれば」と期待する。

 両書店に対し、「ブックファースト」を運営する阪急電鉄は梅田駅の改札口近くに3店のブックファーストを展開しており、「駅ナカの立地を生かし

て、雑誌を中心に旬な書籍で差別化する」と対抗心を燃やす。

 旭屋書店本店の店長は「JR大阪駅の北側にできるジュンク堂や紀伊国屋書店と、南側の当店はほとんど競合しない」と静観するが、キタの書

店バトルは年末から来年にかけて激しさを増す。

 


■建築データ

計画名称:CHASKA CHAYAMACHI(チャスカ茶屋町) ※旧名称:茶屋町高層複合開発・アーバン茶屋町プロジェクト

基本設計:株式会社安藤忠雄建築研究所 実施設計・施工:鹿島建設

所在地:大阪府大阪市北区茶屋町7-20

企画:入川スタイル研究所株式会社、カフェカンパニー株式会社

着工:2007年4月 竣工予定:2010年春 オープン予定:4月28日(一部オープン)

敷地面積:2,670.14u(808.7坪) 建築面積:1,896.93u 延床面積:24,309.55u(7,369.1坪)

規模:地上23階 地下2階 構成・用途・床面積・構造:高さ:100.55m

[下層部 - 地下1階〜地上8階] 11,262.80u SRC造

※ジュンク堂書店が地下1階〜地上7階(合計2060坪)に12月末オープン予定。

[上層部 - 地上10階〜21階] 住居(21階まで)・ホテル(アルモニーアンブラッセ大阪 ウェディングホテル) 5,567.60u S造

[上層部2] 22階:バンケット・披露宴会場 23階:安藤忠雄氏デザインの空の教会「チャペル・ド・シエル」 S造 一部PC造


(チャスカ茶屋町)




(紀伊国屋書店・梅田本店・西側入口)


(紀伊国屋書店・梅田本店・東側入口)

 

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