大阪、超高層・高級ホテル、サバイバルに突入


 世界の超高層・高級ホテルが大阪市内へ相次いで進出する。10月1日、御堂筋ビジネス街・本町にアメリカのスターウッドホテル&リゾート

本町ガーデンシティ(132m)「セントレジスホテル大阪」を日本で初めて開業した。

2013年にJR大阪駅北側の再開発地「梅田北ヤード」(北区)Bブロック(175m)にイギリス系の「インターコンチネンタル ホテルズ&

リゾーツ」、日本一の超高層ビル(300m)・阿倍野橋ターミナルビルなどにも外資系の高級ホテルが進出する。ただ、ホテル全体の需要は

下図のように低迷しており、宿泊客の奪い合いが熱を帯びてきた。

 セント レジスは「シェラトン」「ウェスティン」などを抱える米スターウッドグループの最上位ブランドで、今回が日本初上陸となる。 外資系の高級

ホテルの稼働率が東京より高く、十分な市場機会があると判断し、50m2超の客室(ダブル)と1泊4万円以上の宿泊料を設定。競合する「ザ・リッ

ツ・カールトン大阪」の2倍超の料金だ。法人需要の落ち込みでホテル業界全体が苦境にあるなか、主に富裕層に焦点を当て、高級路線で差別

化を図る。

 セントレジスは、身の回りの世話をする「バトラーサービス」など高級感を強調する。開業1か月前から約15人のバトラーらが取引先など約

3000人を招待し、技術を磨いてきた。

 日本の消費者の節約志向は強まっているが、国内外の富裕層向けの高額商品やサービスには根強い需要がある。セントレジスも1泊の最低

料金が6万9000円と大阪市内で最高ながら、開業初日は満室で、10月分も7割以上の予約が入るなど滑り出しは好調である。

 今後、12年度以降に京阪電気鉄道などが中之島に完成させるビルに、外資系高級ホテルを誘致する計画がある。13年春には三菱地所など

の企業連合が開発する北ヤードBブロックの超高層ビルイギリス系の「インターコンチネンタル ホテルズ&リゾーツ」が進出する。

同ホテルは英国に本社を置く国際的ホテル運営会社のインターコンチネンタル ホテルズ グループ(IHG)の最高級ホテルブランド。インターコン

チネンタルとしては大阪で初のホテルとなる。

 大阪駅北地区先行開発区域プロジェクトはA、B、Cの3ブロックで開発が進んでいる。ホテルはBブロックで建設中の北タワーに入居する。地下

3階〜地上4階の一部と18階〜32階の約3万8900m2を賃借する。

 上層階で開業するホテルは約200室で、このほか長期滞在が可能なサービスアパートメント50戸も提供する。宴会場やレストランも営業する予

定である。

近鉄は、14年春に開業する日本一の超高層ビル・300メートルの「阿部野橋ターミナルビル」に、アジア系高級ホテルの誘致を目指す。

 高級ホテルの進出には、小泉政権時に設けられた「都市再生特別地区」で再開発が進んだという背景もある。公共性があり地域の活性化に

 つながる施設を建てると、容積率や高さ制限が緩和されるため、ホテルは超高層ビル開発の中核にしやすい。

 セントレジスは特区指定を受けた用地に整備されたビルに入居しており、北ヤードや阿倍野の超高層ビル用地も特区になっている。

 ただ、08年秋のリーマン・ショックを境に経営環境が厳しくなり、既存の高級ホテル間では顧客の囲い込み合戦が激しくなっている。市内で最

高級とされたザ・リッツ・カールトン大阪(北区・ハービス大阪・190mの上層部)は8月、レストランに割安のランチメニューを加えるなど、

幅広い客層の取り込みに努める。

 また、ウェスティンホテル大阪(北区・111m)はレストランやロビーの改装を進めており、スイスホテル南海大阪(中央区難波・147m)

も3年がかりの全面改装に乗り出す。

 大阪の高級ホテルの稼働率は東京よりやや高めで、割り込む余地は十分だが、業界全体の展望は明るくない。中国や韓国などからの観光客

をいかに引き寄せるかが勝敗を分ける。


(セントレジス大阪)

(セントレジスからの御堂筋・梅田の超高層ビル群、眺望)

(13階のホテルロビー)

セント レジス バー

1Fのレストラン

nikkei TRENDYnet (画像は日経トレンディネットより)

 

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