梅田・北ヤード、超高層ビル4棟を着工


 大阪や関西の活性化の起爆剤と期待されるJR大阪駅北側の梅田北ヤード(計約24ヘクタール)で3月31日、第1期開発(約7ヘクタール)

の地鎮祭が開かれ、工事がスタートした。

 1期工事は、三菱地所やオリックス不動産、阪急電鉄など12社の企業連合が開発し、2013年3月の完成を目指す。約7ヘクタールの敷地

に、地上33〜48階建ての高層ビル4棟を建設する。先端技術や産業の集積を目指す産学官の研究拠点「ナレッジキャピタル」が入るほか、

高級ホテルやマンション、オフィスビル、商業施設などとなる計画である。

 だが、期待の大型開発に影を落とす要因の一つが土地の取得価格である。関係者によると、当初は北ヤード(約24ヘクタール)全体で約900

億円だった土地価格は、不動産バブルと激しい競争入札で急上昇。結局、落札価格は先行開発区域約7ヘクタールだけで3400億円に上っ

たといわれる。

 これが建物の容積率の緩和なしには採算が取れなくなり、オフィスやマンション、商業施設などの過剰供給につながるという。

周辺では「2011年問題」といわれる百貨店の進出や増床が先行開発区域の開業前後に相次ぎ早くも商業施設の競争の激化が予想される。

 また、JR大阪駅北側の梅田北ヤード開発で、2013年に街開きする先行開発区域の着工披露パーティーが4月9日開かれ、経済界や行政

、大学の関係者から期待の声が相次いだ。中でも、産官学で作る「ナレッジキャピタル」は、最先端の情報通信技術やロボット技術の実用化を

目指す研究拠点として注目される。研究を実りあるものにするためには、ナレッジキャピタルを「特区」にするなど、行政支援や規制緩和の必要

性が指摘されている。

 同開発のハイライトの一つになりそうなのが、ロボット技術をテーマにした「ロボシティ・コア」である。国際電気通信基礎技術研究所(ATR)は

、買い物をロボット技術で支援するための実証実験などを検討している。ATRの研究所長は、「大阪の厳しい消費者の批判に、技術がさらさ

れることで開発が進む」と話す。

 大阪市はロボットの産業化に力を入れており、関西には研究機関も多い。デンマークなど海外から、ロボット技術の視察も相次ぐ。ただ、日本

は道路交通法や薬事法などで厳しい規制があるため、ロボット技術を町の中で試すことができず、「関西の技術が、先に海外で実用化されてし

まう懸念もある」という。

 情報通信研究機構理事長は、「ナレッジキャピタルを特区制度などで規制緩和する必要がある」と話す。北ヤードを魅力的な開発の場所とする

ために、産官学の一層の連携と工夫は不可欠である。

 

 

 

(工事中の大阪駅・北ビル前に北ヤードの工事が開始され、クレーンが設置される)

 

 

 


 

 

 

 

(駅前広場・完成予想図)

 

 

(ビル内部・ナレッジキャピタル完成予想図)

 

 


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