上海環球金融中心、世界一展望台と技術的ハイライト


(上海環球金融中心の世界一の展望台)



上海環球金融中心の94 階から100 階にかけては『上海環球金融中心観光庁』として展望施設があり年間約300 万人の入場者数を見込ん

でいる。

そのうち100 階部分については、その高さが474 メートルあり、カナダ・トロントのCNタワーを抜いて世界で一番高い展望台となる。55 メー

トルの長さがあるその展望ブリッジ『スカイウォーク100』では、床の一部から下界を見下ろすことが出来るようにデザインされている。

97 階部分の『スカイウォーク97』では、その上部のガラス開口部がオープンになることにより外気を取り入れることができるよう設計されてお

り、人間と自然が交じり合う空間になる。。

94 階の部分の『スカイアリーナ94』には750 平方メートル、天井高8 メートルのスペースがあり、ここからの眺望を背景としたイベントや展示

会の開催も可能で、上海環球金融中心からの情報発信機能の一部を担う。

(チケット売り場)

(100階・展望台)

(上海環球金融中心・492mの世界一の展望台・474mから見下ろしたジンマオビル・421m)

(上海環球金融中心・492mの世界一の展望台・474mから見下ろした超高層ビル群)

(展望台の超高層ビル・案内写真)


 

(世界一の展望台の高さ・474m表示、CTBUH・世界高層ビル協会の世界一の床・屋根の高さの認定書)

(ガラス張りの床から真下を見ることができる)

(上海環球金融中心・492mの世界一の展望台・474mから見下ろしたジンマオビル・421mと周辺の夜景)


(上海環球金融中心の技術的ハイライト)

(1)上海環球金融中心のデザインについて

・ 上海環球金融中心は101 階建て高さ492 メートル。その高さについてはその最高フロア高さと軒高の2つの点において、世界で最も高い

 建物になります。

・ そのデザインは、超高層建築の設計で世界的に著名なアメリカの設計事務所 コーン・ペダーセン・フォックス・アソシエイツP.C.(KPF)が

行ないました。大胆な円弧と直線の組み合わせにより中国古来の宇宙観である天円地方の概念を表わし、また、頭頂部の方形の開口部

はデザインの幾何学的形状を引き立たせると共に、ビルが受ける風圧を和らげる効果も持たせています。

・ 一辺が58 メートル(外周部)ある低層部の大きなフロア面積は、大手金融機関の求めるオフィス形状に適しており、高層階にかけて徐々

に細くなる形状により、中間階は小規模オフィステナントに適したサイズ、また最上部のフロア形状は、ホテルとしての使用に適しており、

複合用途の超高層ビルの施設構成に対して整合性を持たせたものとなっています。

(2)上海環球金融中心の技術的ハイライト

・ 建物内においては全91 台のエレベーターのうち39 台についてダブルデッキエレベーターを採用し、超高層ビル内における輸送能力の

向上を図っています。そのうち24台はかご間の高さ調節が可能なスーパーダブルデッキエレベーターで、これにより階高の異なるフロアに

対応して停止することを可能としています。

・ エレベーターのスピードは最速のもので分速600 メートルとダブルデッキエレベーターとしては世界最速になっています。これにより地下

1階から95 階まで約1分で到達します。また、車を搭載して高層階まで運ぶ機能を持つエレベーターも装備しています。上海環球金融中心

のエレベーターのメーカーは、東芝、日立、オーティス、ティッセンの4社です。

・ ビルの電気供給については、35KV3回線受電により安定した供給を確保し、各テナントの電源増設ニーズに対しては追加電源供給が

可能な容量を確保しています。非常時の電源供給については、ビル共用の非常用発電機とは別にテナント供給用として、1,500kVA 相当の

発電機が設置可能な発電機設置用スペースを4ヶ所、500kVA 用スペースを1ヶ所用意しています。

・ 外壁には複層ガラスを採用したアルミカーテンウォールを採用。ビル内における省エネルギー効果を持たせています。ビルのタワー部

全体でのカーテンウォール数は10,618 台(ガラス枚数換算で約4 万枚相当)にも上ります。


(3)上海環球金融中心の安全性・耐震性能など

上海環球金融中心の構造設計について・ 上海環球金融中心の構造設計は、高層建築の構造設計で世界的に著名なアメリカの構造

設計事務所レスリー・イー・ロバートソン・アソシエイツR.L.L.P(LERA)に依頼して、その信頼性を高めています。

・ 上海環球金融中心ではではコア部に鉄筋コンクリート構造の『コアウォール』、外周部にはメガ柱、ベルトトラス、ブレースからなる『外周

メガストラクチャー』を配した二重チューブ構造を採用。さらに双方を連結するアウトリガートラスを加えた3 つのシステムにより、地震や

強風に対する安全性を高めています。

・ 外周メガストラクチャーを含む主要な骨組構造は、粘り強い鉄骨部材と高強度コンクリートで構成されています。アルセロール・ミタルと

宝山製鉄の2社が主要な鋼材供給元です。

・ 地下部分については2,271 本の支持杭を地下に打ち込み、その上に厚さ最大4.5 メートルの耐圧板を置いた上に建物を建設して建物

重量を支えています。地下杭は最長のもので約78 メートル、重量は約17 トンあり、それら杭に使用した鋼管の総重量は約2万トンにも達し

ます。すべての杭を一本につなげた場合、その全長は88.67 キロメートルになります。

・ 建物の90階には強風による建物の揺れを軽減するための、重さ150トンの振動体を中心に構成される制振装置2基を設置し、強風時に

おける建物内の居住性、快適性を確保しています。

2)上海環球金融中心の耐震性能・地震対策について・ 森ビルの建物に関する設計基準は常にその設計目標を標準の1ランク上のレベル

に設定しており、この上海環球金融中心の設計に当たっても中国の耐震建築基準を十分に満たした上、さらに余裕のある耐震性能を持た

せています。これにより、地震発生後の継続的な使用にも耐えられるレベルにまで耐震性能を高めています。

・ 中国国内では地域ごとに異なる耐震建築基準の設定が為されており、上海市においては中国基準の烈度7注)レベルの地震に耐えるこ

とが必要とされていますが、上海環球金融中心は50分の1スケールの模型による加振実験において烈度8〜9相当の地震加速度を想定

した揺れに対しても十分な耐震性を有することが証明されています。

(中国建設部抗震弁公室による審査による)

・ また、長周期地震動に対しても上海環球金融中心ではペンデュラム方式による感知装置を備え、長周期地震動を感知した場合には

必要に応じてエレベーターを最寄階に安全停止させ、エレベーター内にいる人が安全に外部に避難できるよう対策を施しています。

注)中国基準の烈度7は日本基準の震度5弱から震度6弱、烈度8は震度6弱から震度6強に相当。北京市の耐震建築基準は烈度8相当

とされています。

(4)セキュリティについて

・ 上海環球金融中心の7-77 階のオフィスエリアへのアクセスにはセキュリティゲートを通る必要があります。また各階オフィスフロアにおい

ては最新鋭のIC セキュリティカードキーシステムにより外部からのアクセスを制御できます。

・ 各テナントへの来訪者については事前に来館者名を登録することによりスムーズな入場ができるシステムも備えています。国際金融セン

ターにふさわしいセキュリティシステムに対する信頼性が、最先端のグローバル金融機関のビジネス活動を支えます。

・ ビルの防災センターにはビル集中管理システムを導入し、24時間セキュリティ及び出入口制御システム、モニター監視装置などを制御し

、人と機械の両面からなる万全なセキュリティ体制を構築しています。

・ 一方、年間300 万人以上の来場者が予想される展望施設においては、入口に金属探知機を設置。また状況に応じて手荷物の検査も

実施するなど来場者やビルの安全を守ります。

(5)防災及び避難計画について

・ ビルの建築等級は1級、建築防火分類1類建築物、耐火等級は1級として認められています。ビルの高さが492 メートルに達するため、

防火設計において特殊な防火措置が採用され、国家の消防主管部門において専門的な検証が実施されています。

・ ビル内の12 フロア毎全7フロア(18, 30, 42, 54, 66, 78, 90 階)には避難階を設け、加圧防煙システムにより避難階への煙の侵入を防ぐこ

とで災害発生時の安全性を確保しています。


(以下の写真は、公式ホームページより)

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