中国・上海一の超高層ビル、空室率は40%


7月9日、大型複合ビルの開発を行う森ビルは、2008年に中国・上海でオープンした超高層ビル「上海環球金融中心(上海ワールドフィナン

シャルセンター、SWFC)」の稼動率について、当初目標の「2009年末に9割」達成は困難だとして、達成時期を10年末に1年先送りした。

世界的な金融危機が響いた。

森ビルが8日、ブルームバーグ・ニュースのインタビューで明らかにした。関係者は「世界全体で金融危機のつめ跡は深い。上海も影響を

受けている」と述べた上で、SWFCの稼働率が「来年末に9割になる計画だ」と語った。

森ビルによると、SWFCの稼働率は7月現在で60%、空室率は40%である。関係者は「ここまで順調にきている。ただ金融危機の影響

でここから先がちょっと厳しい」と述べた。

担当取締役によると、SWFCの月額賃料は1平方メートル当たり640元(約8700円)と、上海では最高水準。1坪(3.3平方メートル)換算で

約2万9000円になる。東京の平均2万1620円を大きく上回る。同氏は、稼働率を高めるための賃料引き下げは念頭にない意向を示した。

  SWFCは地上101階、地下3階、高さ492メートルの中国一の超高層ビル、世界でも2番目に高い超高層ビル。

総事業費は1250億円。森ビルは約400億円出資している。延べ床面積は38万1600平方メートルである。

金融危機で企業が人員削減を進めることで、オフィスのテナント需要は低迷している。不動産コンサルタント会社コリアーズ・インターナショ

ナルによると、09年1−3月(第1四半期)の上海の高級オフィスビルの空室率は12.3%と、05年以来の高水準に達した。

 ただ、このビルをめぐる苦難は今回が初めてではない。

1994年に上海市当局と調印した後、基礎工事が進んだ97年にはアジア通貨危機の勃発で一時中断を余儀なくされた。

さらに2001年9月には米中枢同時テロ、03年には中国が感染源の新型肺炎(SARS)流行と、めまぐるしく経済環境が変動し、オフィス

需要予測を狂わせた。そして今回は金融危機に新型インフルエンザ流行というダブルパンチに見舞われた。

  上海市統計局によると、08年の上海の経済成長率は9.7%に鈍化し、1992年以来初めて10%台を割り込んだ。世界的な経済危機で

中国の輸出品への需要が損なわれたほか、対中投資が低迷したことが背景にある。

(上海・浦東新区の超高層ビル群)


 中国を代表する金融街の一つである上海浦東の陸家嘴のオフィス街で、オフィスの空きが目立ち始めている。『新聞晨報』の報道でも

2008年初めの空室率は5%に過ぎなかったが、2008年末には15.4%にまで3倍に上昇している。
 
オフィスビルが各地で増殖している上海だが、2008年に上海市全体で供給されたオフィスビルの面積は83.7万平方メートルで、このうち

浦東新区が61.9平方メートルを占めている供給量が大幅に増えている中、需要が明らかに追いついておらず、外資系企業などが

使う高級オフィスビルの空室率は15.4%で、このうち浦東新区に関しては25.6%に達している。
 
これにより、2008年初めの高級オフィスビルの家賃は、1平米あたり1日8.25元元だったのが、今では7.6元にまで下落した。率にして7%

の下落となる。
 
一方で、2009年に上海で竣工するオフィスビルは75.4万平方メートルで、このうち43.5万平方メートルは浦東エリア。さらに増える

新規オフィスビルにより、上海のオフィス空室率はさらに上昇するものとみられている。
 
ちなみに、1998年のアジア金融危機のときは、上海のオフィス空室率は50%前後にまで上昇したことがある。


また、日本の三大都市圏では、東京都心の5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス空室率は、2009年2月末に、1月末からの1か月

間で0.67ポイント上昇し、5.60%になった。上昇は13カ月連続。需給均衡目安の5%を3年8カ月ぶりに突破した。不動産仲介大手の

が09年3月に発表した。大阪地区は同0.50ポイント上昇の7.46%名古屋地区は同0.86ポイント上昇の9.62%。また、オフィス賃料(募集

ベース)は、東京都心の5区は3.3平方メートル当たり2万1620円で、同1.47%下がった。賃料の下落は6カ月連続。

 

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