世界金融危機、超高層ビルへも波及


 森ビルは10月26日夜、上海に建設した101階の中国一の超高層ビル(492m)「上海環球金融中心」の正式開業記念パーティーを開

いた。日本からも中曽根康弘・元首相、奥田碩・トヨタ自動車相談役ら政財界の約150人が出席。上海市政府の外郭団体が同ビル内に

内外メディア向けの情報発信拠点「金融文化メディアセンター」を来年、開設することも正式発表された。

 しかし、森ビルの森稔社長は同26日、中国・上海に開業した101階建て超高層ビル「上海環球金融中心」のオフィス入居契約状況について、

「金融危機により欧米系メガバンクや証券会社の動きが止まってしまった。金融機関以外のほかの業種からの入居希望はあるが、本来の

目的である金融機関に貸すために待っているというところだ」と述べた。環球金融中心の契約率は現在約50%。特に米国系金融機関につい

ては中国当局による許認可手続きの遅れも影響していると述べた。

 環球金融中心は国際金融センターを目指す上海・浦東新区で「名だたる金融機関が入居するビル」(森社長)として開発。今年8月に本格

開業したが、ちょうど金融危機にぶつかった形。森社長は一部の金融機関からは「契約を待って欲しい」という要望があることを明らかにし

、「いつまで待てばいいのかお互いにわからない状況。だが、待ってくれと言われて待たないわけにはいかない」と述べた。

 ちなみに、エンパイア・ステートビルは1931年に竣工したが、世界恐慌の影響でオフィス部分は1940年代まで多くが空室のままであった。

そのため、「エンプティー(空の)・ステート・ビルディング(Empty State Building)」と揶揄されたのは、有名な話である。

 (上海環球金融中心とジンマオビル)


 米ゼネラル・モーターズ(GM)がミシガン州デトロイトの本社ビルの売却を検討していることが10月7日分かった。米紙デトロイト・ニュース

が報じた。米金融危機の影響で新車市場のさらなる冷え込みも予想されるなか、経営再建中のGMは保有資産の売却で手元資金の積み

増しを急ぐ。GMはガソリン高騰や金融危機による買い控えで、販売低迷が長期化。資金確保のため人員削減や工場閉鎖に加え、資産

売却を急いでいる。

 GMは近く地元の年金基金に対し、本社ビルの超高層ビル(221m・70階・1970年竣工)「ルネサンス・センター」への投資名目などで

5億ドル(約500億円)の借り入れを打診。この交渉が失敗した場合、GMはビルの所有権を第三者に売却することを検討するとしている。

売却しても本社機能は同ビルに残す見通しである。

 デトロイト市街地にある同センターは7棟の超高層ビルから成り、ホテルや映画館も入る大型複合商業施設。GMは1996年に同ビルに

移転。その後の改装などを含め、取得に6億2600万ドル(約635億円)かかっているという。

 さらに、GM(ゼネラルモーターズ)とクライスラーグループが合併で合意し、近日中に発表する段取りとなった。ほぼ100年にわたって

続いた米ビッグ3体制は、合併会社とフォードモーターの「ビッグ2」に再編される。クライスラーの筆頭株主である米投資ファンド、サーベラス

・キャピタル・マネジメントがクライスラーの自動車事業をGMに売却。また、サーベラスは同社が51%、GMが49%を保有するGM系の金融

会社GMACの全株式を取得する。

両社の合併については、米政府が7000億ドル(約70兆円)の公的資金枠を設定している金融安定化法の支援対象を自動車系の金融会社

にも広げることとした。また9月末に決まっていた自動車業界向けの250億ドル(2兆5000億円)の政府保証融資についても早期に実行する

など、合併を支援する動きとなっていた。

GMとクライスラーは、米国新車市場の落ち込みで経営が悪化、とくにGMは6月末の債務超過が570億ドル(5兆7000億円)になる一方、

資金流出により手元資金が急速に細るなど危機的状況に陥っていた。

(GM本社ビル)

ちなみに、クラスラーはニューヨーク・マンハッタンにクライスラービル(高さ319m) を1930年完成させた。

アメリカの1920年代の繁栄の歴史を物語るニューヨークの摩天楼の中の傑作である、頂部や壁面、内装にアール・デコの装飾がほどこ

されている。各所に自動車をモチーフとした装飾が施されている。しかし、現在はクライスラーの手を離れており、ドイツの投資会社とアメリ

カの不動産会社、保険会社が所有している。2008年7月には、アラブ首長国連邦のファンドに所有権の75%を買収されている。

(クライスラービル)

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