香港一国二制度、中国へ返還10年と超高層ビルの変移


 英国の植民地だった香港が、7月1日、中国に返還されてから10年となり、記念する式典や行事が香港各地であった。中国の国家

主席は「愛国」を強調。香港市民も、記念行事に迷彩服で登場した中国軍兵士に拍手を送るなど、10年前に抱いた中国への違和感は

薄れたように映る。しかし、「一国二制度」をめぐる理解の溝や民主化の停滞は、香港と中国の間の火種としてくすぶっている。

 返還前後の香港では、中国軍から89年の天安門事件を連想する市民が多かったが、この10年、「香港で軍の悪いニュースを聞いたこ

とがない。イメージは変わった」と言う。

 香港に駐留する兵士は約3000人で、10年間で出動は一度もなく、市民に軍営を開放するイベントを14回実施。兵士がにこやかに手

を振り市民を迎え、記念撮影に応じるなど、ソフトイメージの定着に腐心してきた。

 その姿は、香港内政への不干渉を原則としてきた中央政府の姿勢と重なる。今年4月の香港大の世論調査で中央政府への信頼度は

過去最高の58%で、成果は着実に表れている。

 一方、同日午後、胡主席が香港を離れた直後の香港島の目抜き通りでは、6万8千人の市民がデモを繰り広げた。掲げる要求は「直接

選挙の実現」や「言論の自由」である。中国を祖国として受け入れつつ、民主や自由という価値を守りたい香港人の思いを表している。

 民主化を求める機運は50万人デモを実現した2003年当時ほどの勢いがない。しかし、政治関係者は、立法会(議会)選挙の

直接選挙枠の結果や世論調査などから「民主を求める人の割合は全体の57〜62%。この10年大きく変わっていない」とみる。

 一方、経済の面では株や不動産が値上がりし、日本人に代って中国人観光客が大幅に増加した。また中心地区の超高層ビル街も

さらに迫力を増し、400mを超える超高層ビルが建てられ、アジア一の摩天楼都市として地位は揺るぎない。



 香港初の400m級超高層ビル・香港国際金融中心(416m)は、全体が完成し、フルオープンしたのは2003年7月であり、1997年から

事業展開されていた非常に規模の大きな複合施設である。

 この超高層ビルは香港駅に位置し、中環(Central)と言う香港の中心地区にある。地下鉄の中環駅と接続し、交通の要衝とも言うべき

場所である。利便性等から得られる付加価値からの収益を鑑みて、香港駅上へ複合施設が建設される事となった。

香港国際金融中心は大規模で、香港駅駅舎・第一期オフィスビル棟・第二期オフィスビル棟・ショッピングモール及び映画館・ホテル棟

の各エリアから成る。この中でも、第一期オフィスビル(210m)・第二期オフィスビル(416m)・ホテル棟(205m)は超高層ビルである。

さらに、500mに迫るInternational Commerce Center(484m)が、セントラルの対岸に建設中でこの超高層ビルと 香港国際金融中心

が2010年頃には、香港の2大ランドマークとなる。

(香港一の超高層ビルの遷移)

            (1992年)  (2003年)   (2010年)

(建設中の香港最大の超高層International Commerce Centerプロジェクト)

 

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