何故、東京は国際都市になれないのか(1)


 国際都市の定義とは何か?それは、人口・経済・政治・インフラなどさまざまな条件が必要であるが、それだけではなく、「生活の豊かさ

、人の住む環境などの生活の質」が求められる。それでは生活の質とは何か?「所得、住宅環境、道路・交通の整備状況、都市景観」など

で、それを考慮すると、東京は国際都市とは言えない。世界的に酷評されている「狭い住宅、ひどい交通渋滞・通勤ラッシュ、ゴチャゴチャ

した都市景観」などを考慮すると、当然であろう。

現在、東京は超高層ビルが多く建設され進化しているように見えるが、もっと優先すべき課題が解決されていない。

世界的な経過をみると、産業革命後のロンドンは、産業技術によって世界をリードしていく国際都市であった。そしてこの時代、ロンドン

のみが国際都市だった。

次いで、政治権力、中枢的業務、道路や鉄道の集中、金融の中心などの要素に着目して国際都市論が展開された。この頃には、

ロンドンに加えニューヨークも国際都市を形成していた。

世界経済の中心地として政策決定.金融などの機能を果たす都市を国際都市としてとらえられた」。東京都はこの頃から、「ニューヨーク、

ロンドン」に加え、東京も国際都市にという目標を強く意識するようになっていく。

金融を中心とした経済機能に着目した国際都市論が展開され、「ニューヨーク、ロンドン、東京の3都市が世界の金融機能の中心地として

の役割を担えば・時差の関係でほとんど24時間を通じて、世界の金融機能が働くことになる」などという議論が展開された。

時差の関係で世界の他の都市が活動している時問帯にも、眠らずに活動する必要があるからだ。

さらに国際都市の議論は、単なる「経済」といった次元の問題にとどまらず、交通機関、都市基盤、道路網、治安など、様々な条件」

が必要になる。

そして、日本は1986年に、「国際都市機能が円滑に機能するよう東京圏の地域構造の改編を進めるとともに既存の集積を生かし

て大阪圏、名古屋圏等において特色ある国際都市機能を分担」と、東京圏のみならず大阪圏、名古屋圏についても国際都市論を展開

し、それを目標とすることにした。

この場合の「国際都市機能」とは何か。東京は国際都市と特に日本人が呼ぶ場合、通常それは国際金融センターを意味した。

東京都も1990年に第3次東京都長期計画で、「東京は、ニューヨーク、ロンドンと並ぶ国際金融センタとしての地位を確立し、世界経済の

拠点となっている」と、初めて世界都市を国際金融センターとしてとらえることを公式に表現している。

ところがこの年、国際都市の元祖ともいうべき本場ロンドンで開かれた国際都市に関する国際会議で、国際都市については「国際金融

機能だけではなく、生活の豊かさや雇用機会、そしてとくに人の住む空間という都市本来の立場から考える」ことが議論された。

これが大きな転機となった。従来、国際都市は、経済的な機能を中心に議論されてきたが、このときを境に、「そこに住む人びとの

生活の質の向上が図られなくては国際都市とはいえない」「国際都市は経済的側面だけではなく、生活、文化的な面で世界をリードする

」という条件が必要となった。

ニューヨークやロンドン・パリがそうであるように、いろいろな民族、文化、人類、言語、の人びとがともに働き、上質の生活する場」を、むしろ

「国際都市」などと呼んだほうが、わかりやすいかもしれない。

東京都でもこのような動きを反映して、95年の「とうきょうプラン95」では、「もともと都市は、人びとの幸せと豊かな生活の実現をめざして

つくられてきた」と、そもそも都市がつくられた目的が「国際金融センター」や「世界経済拠点」ではないことを明確にした上で、「豊かでゆとり

ある、質の高い生活を実現するために、経済を活性化し、まちをつくり変え、東京の活力を高めていく」ことを宣言した。

ここでは、手段と目的が明確に区別されている。「経済を活性化」や「まちづくり」は手段であり、目的はあくまでも「豊かでゆとりある、質の

高い生活」なのである。

同時に、ニューヨークー・ロンドン・パリなどの国際都市は、さらに「生活しやすい質の高い都市」をめざした。(次回へと続く)

 

 

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