ニューヨーク・フリーダムタワー、計画の見直し
 


 アメリカ同時テロで崩壊したワールドトレードセンタービル(WTC)の跡地、通称「グラウンド・ゼロ」の再開発のシンボルとなる「フリーダム・

タワー」のデザインが、安全上の理由から白紙に戻され、ニューヨーク州知事と同市長が5月5日に明らかにした。

 計画の発表から一年半あまり、建設開始から10カ月たっての白紙変更で2009年とされていたビルの完工が遅れるのは必至である。

 ニューヨーク市警察は先月、WTCのリース権を持つ開発業者のシルバースタイン氏に、(1)タワーの建設予定地が道路から近す

ぎてトラックなどを利用した爆弾テロ事件の標的になる恐れが高い(2)独立宣言の年にちなんだ1776フィート(541メートル)の高さなどか

ら再びテロリストのターゲットになる恐れがあるなど、安全上の問題を指摘する報告書を送った。

これをもとに州、市当局とシルバースタイン氏らが話し合いを進めた結果、タワーのデザインを変更することでこのほど合意した。

 同知事周辺筋の話として、安全に配慮した新デザインのタワーは同じ設計者が数週間後にも発表できると伝えている。高さは変わらない

見通しだが、60階建てのオフィス棟にケーブルでできたメッシュ状の構造物を重ね、頂上に尖塔を抱くという斬新なデザインは大幅に変更

される予定である。

 「アメリカの力の新たな象徴」となるはずの再開発計画が見直しを迫られたことで、州と市、開発計画にあたる関係者との連携のなさが明

らかになった。

 

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